ポストコロナの時代は、世の中の様相がどのように変わっていくのか、具体的なところは分かりませんが、私は私なりに、これから先をどのように過ごしていくか、少しずつ考えていこうと思っています。
考えたことを、このブログに記録していきます。
別のブログでは昨年から、精神生活の支柱の一つをなすといわれる“観照”という行為について、延々と書いてきています。
その中で、日本の王朝和歌の発展史をたどり、中世末期桃山時代の千利休の“侘び茶”に結実した、世界に例を見ない美意識の成り立ち方について検討したりもしています。
そこから得られた成果として、私の中では“侘び”という在り方――生活と環境と美意識とが融合した在り方――が、これからの生き方を考えていく上でとても重要な鍵になると思うに至りました。
“侘び”という言葉自体は日本人であるわれわれには昔から馴染んできているものですが、
ここでもう一度改めて検討しなおし、今後の具体的な生活の用に供していくことができればよいかと考えます。
その意味で、私には私なりの改めての「“侘び”の定義」というものを用意しており、それについては次回かその次の回ぐらいに公表するとして、
ここではとりあえず、これまで一般的に受け止められてきた“侘び”のイメージを極めて象徴的に表現している和歌と箴言をもってして、イメージのアウトラインを提示しておくことにしましょう。
見わたせば花も紅葉もなかりけり浦のとまやの秋の夕暮 藤原定家
花をのみ待つらんひとに山ざとの雪間の草の春をみせばや 藤原家隆
藁屋に名馬繋ぎたるがよし 村田珠光
“侘び”に基づく生活態度や美意識や創作・観照のあり方を総合的にまとめて提唱していくに当たって、新たにWABism(ワビズム)という造語を提案したいと思います。
WABismとは、すなわち「自然の心と供に」在ろうとする生活態度であり、創作と観照の方向性を示唆する概念です。
この意味で、このブログでは、折に触れてアートや工芸の世界での作品やイベントなども紹介していきたいと思っています。
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[巻頭の画像作品]
中野みどり作 紬織額絵「雪間の草」 紬織着物作家 櫻工房主宰
[WABismのサイト] Art & Craft Item
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